母が働いていて、どこかの家に訪問しにいくときに起こった出来事です。

母は、普段通る道を普通に通っていました。

会社から、その家に行くのにいつもならだいたい20分ぐらいです。

10分ぐらい自転車で走って、とある池に差し掛かった時、
不思議なことに気づき、首をかしげました。

汚いその池は深く、藻だらけで、周りにフェンスがありました。
なのに、池の真ん中に人の頭らしきものがあります。

あるというより、浮いているようでした。

目が悪かった母は、めがねを掛けてそちらに目をやると・・
そこには女の子のようなおかっぱ頭に目と口。

人間のように見えるけれど人間ではない。

母は逃げるようにそこを離れました。

仕事に行く家の方へ、全速力でペダルを漕いで。

ですが、ふと気が付くと、そこは墓地。

怖くなりながらも時間を気にして、時計に目をやると、
もうあれから10分も経っています。

いそいで訪問先にいき、どうにか間に合いました。

帰り道は、違う道を通って帰りました。

その日の夜、
母は疲れていたのですぐ寝付くことができました。

ですが、夢でうなされています。

俺は、「うるさい!!」と言うと、気にせず寝ました。

ですが母は、とても怖い夢を見ていたのです。

昼間の池が目の前にあり、そこからあの[人の頭]らしきものがだんだん上がってきて、
全身でたと思うと、いきなり醜い妖怪のような姿になり、首をはねるというもの。

母は、寝るのが怖くなり目を開けていると、枕元のフスマがスーっと開くのがわかりました。

怖くなり目を閉じるとあの妖怪らしきものが襲ってくるのが見えます。

怖くなり目をあけるとフスマがどんどん開きます。

とうとう母は、父を起こしあの話をしました。

その日はお守りを持って寝たそうです。

次の日、母と父はその池に行き、手をあわせ、花を供えました。

その晩、妖怪に化ける前のおかっぱあたまの人(?)がお礼に来たそうです。

その言葉は

「花を供えてくれてありがとう、次の人見つけたからそっちにいくね」

だったそうです。