変な女が現れて怖い思いをした事なら、俺もあるなぁ。


小学校1年の2学期に入る前だったかな。 
父親の仕事の都合(海上保安庁に務めてる)で、実家から島根県に引っ越す事になった。 
当時は車を持ってなかったので、荷物の運送は業者に任せ、俺達家族は必要な荷物だけ持って 
鈍行列車で「浜田駅」まで行く事になった。 

駅に着くまで2時間半ぐらいかかるので、親父も母親も妹も寝ちゃってた。 
俺1人が頑張って起きてた。家族全員が寝たら荷物を盗られるんじゃないかと、心配になってね。 
どこの駅からだったかは忘れたけど、通路を挟んた反対側の座席に女の人が座ってた。 
髪の短い人で、当時の俺は「女性=長髪」という認識だったから、珍しくて景色を見る振りをして 
チラチラ見てた。 

532: 2006/07/11(火) 14:11:18 ID:ZsAZIe+90
やること無いし、そのうち見るのも飽きてウトウトし始めた。 
で、なんか気持ち悪くて目が覚めた。臭うんだ。洗面所の排水口に鼻を近づけた感じの臭い。 
顔がぬれてるみたいだし、誰かが顔を触ってる。 
てっきり妹が起きて悪戯してるんだと思い、目を開けたんだ。 

隣の座席に座ってた女の人が、俺の頬をベロベロ舐めてた。 
(舐めるというより、舌を這わすといった方が正しいかもしれない) 

目にした最初の光景が、ドアップの顔なんだから驚いたのなんの。 
でも何が起きてるのか分からなくて、悲鳴もあげられない。
「ひ」とか「い」とか、そんな事しか呟けなかった。 
女の顔なんて覚えてない。何度もまばたきしながらこっち見てる『目』しか覚えてないんだ。 
どれだけの時間、その女がそうしてたかなんて今も考えたくない。 

けれど、さすがに変な気配を感じたんだろうな。親父が眼を覚ましてくれた。 
「おいっ! 何してんだテメェッ!」と、これまで俺が聞いたこともないデカイ声で
親父が叫んだかと思うと女の横腹に蹴りを一発。その一撃で、ようやく俺の顔から女が離れた。 
母親も妹も、ここで目を覚ましたらしい。

すかさず親父が女を組み伏せる。田舎の在来線とはいえ、俺達以外にも客はいる。 
何事かと集まりだした。俺は親父の声に驚いて泣き出して
(正直、親父の怒声の方が怖かったかもしれん)。 
オロオロしながら「何があったの」と聞く母親に、親父は「こいつ○○の顔を舐めてやがった!」と返す。 
俺が泣くから妹も泣き出して、手がつけれない状態に。 
客の誰かが車掌さんを呼んでくれたらしく、親父が事情を説明し、浜田駅で警察に
引き渡すことになったらしい。 
俺はひたすら泣いてたんで、その辺はよく覚えてないんだが・・・親父によると、
女は警察に引き渡されるまでずっと無言で、ヘラヘラ笑ってたそうだ。
舐めてた時は無表情だったと思う。 

車輌にあるトイレ(の手洗い場)で顔を洗ってもらい、別の車輌に移された(他の客も移った)。 
親父と車掌さんで女を見張り、駅について警察に引き渡した。 
警察の人に話を聞かれたけど「女の人が顔を舐めてた」としか言いようがない。
結局、女は連行されて、それっきり。 
二度と会うことはなかった。彼女の素性も、どうして舐めたのかも分からずじまい。 
(その後、警察から何度か「安全ですか?」という電話がかかったらしいので、
どうも釈放されたようだ) 

この出来事のせいで、中学まで女子が苦手になった。 
今はもう、そんな事はないんだが・・・列車に乗ると思い出して気分が悪くなる。 
・・・今頃なにしてるんだろうな、あの人。